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青い湯に入りたい。

源泉バンク編集部更新日:
乳白色がかった青い湯をたたえた温泉と岩場のイラスト
AI生成のイメージイラストです

別府には、青い湯に入れる宿があります。白く濁った湯にうっすらと青が差すもの、澄んだ水色に見えるもの。しかも同じ浴槽でも、日によって青かったり、白かったり、透明だったりします。

湯はなぜ青くなり、なぜ色を変えるのか。仕組みを知ってから訪ねると、湯船でその日の色を確かめる時間がぐっと面白くなります。今回は明礬温泉と鉄輪温泉から、源泉ランク4以上の3軒を選びました。

青い湯は、なぜ青いのか

鍵になるのは、温泉に溶けているシリカ(ケイ酸)です。湧き出したシリカの分子は、時間がたつにつれて結びつき、目に見えないほど小さな粒子(コロイド)になります。

粒子が光の波長より小さいうちは、太陽光のうち青い光だけが散らされて目に届きます。空が青く見えるのと同じ仕組みで、レイリー散乱と呼ばれます。これが澄んだ青い湯の正体です。粒子がさらに結びついて大きくなると、あらゆる色の光が散らされるようになり、湯は乳白色に見えてきます。

つまり青い湯は、透明から青へ、青から白へと移っていく途中の姿です。湧いてからの時間や光の当たり方で、同じ浴槽の色が変わるのはこのためです。

ただし、酸性の湯ではシリカが結びつきにくく、この仕組みでは青くなりません。日本温泉協会は、濁りのある青白い湯については、硫黄の化合物と光の反射によるものと説明しています。別府の青い湯には、澄んだ青と、濁った青白の2つの系統があるわけです。

1. 明礬温泉 岡本屋旅館

明礬温泉の岡本屋は、濁った青白の系統です。宿はこの湯を「ミルキーブルー」と呼び、青磁にもたとえています。泉質は酸性の硫黄泉なので、シリカの仕組みより、硫黄の粒子による青白さに近い湯と考えられます。自噴する源泉を加水も加温もせずにかけ流し、源泉ランクは5です。

色は、その日の気温や湿度、日の差し込み方で、透き通るような淡い青から濃い乳白色まで変わると宿は案内しています。朝の澄んだ青、昼の鮮やかなエメラルド、夕暮れの深い藍色。一日のうちでも見え方が違うので、朝と夕方に一度ずつ入ると色を比べられます。

庭園露天風呂は明礬の緑に囲まれ、山々と明礬大橋を望みます。内湯では大きな窓から入る自然光がミルキーブルーの湯面を照らし、女湯には檜をふんだんに使った浴槽もあります。湯面に浮かぶ白い湯の花と、温泉街にほのかに漂う硫黄の香りも、明礬らしさです。立ち寄り入浴はしていないので、泊まった人だけがこの色の移り変わりに付き合えます。浴場までは階段が多い点は覚えておいてください。

2. 別府 おぐら

鉄輪温泉の別府おぐらは、澄んだ青の系統です。湯に含まれるメタケイ酸(シリカ)は732mgで、宿は「日本トップクラス」とうたっています。公式サイトの言葉を借りれば、「ブルーから乳白色に移り変わる」湯。先ほどの仕組みそのままの変化を、湯船で見られる宿です。

お風呂はすべて源泉かけ流しの貸切です。露天風呂「照湯」は、天候によって湯が青く変わるお風呂。ほかにも、岩風呂と打たせ湯の「丘ん湯」、泡風呂と寝湯の「ヘビん湯」、半身浴ができる露天の「万葉湯」、ヒノキ屋根のレトロな内風呂「新湯」と、造りがそれぞれ違います。月花庵や山吹庵のように、石風呂や五右衛門風呂と、青く変わる露天風呂を組み合わせたお風呂もあります。

貸切なので、同行者と「今日は青いね」と湯の色を確かめ合えます。お風呂ごとに色の出方が違うかを見比べるのも、ここならではの楽しみ方です。源泉ランクは4です。

3. 別府鉄輪温泉 山荘 神和苑

鉄輪温泉の山荘 神和苑は、看板の湯を「神秘の青湯」と名づけながら、「天候や温度によって、無色透明な日もございます」と断っています。仕組みを知ると、この一文にうなずけます。シリカの粒子がまだ育っていなければ湯は透明で、育てば青に、さらに育てば白に向かうからです。透明な日の湯も、青くなる前の同じ湯です。

敷地内に自家源泉を2本持ち、源泉かけ流し。大浴場「鳳乃湯」には男女それぞれに露天風呂と内湯があり、鉄輪名物の蒸し湯も備えています。青湯に浸かり、蒸し湯で温まり、また湯に戻る。鉄輪ならではの入り方ができます。

宿は湯浴みの時間を、満天の星空を眺めながら、朝日に包まれ鳥のさえずりを聞きながら、と案内しています。入浴は15時から23時までと、翌朝6時30分から10時まで。夕方と翌朝で湯の色を見比べられるのは、泊まる人の特権です。源泉ランクは4です。

まとめ

硫黄がつくる青白を時間ごとに眺める岡本屋、シリカの青が白へ移ろうのを貸切風呂で追えるおぐら、透明な日も含めて青湯の変化に付き合える神和苑。3軒の青は、どれも湯の中で起きている変化の途中の色です。

写真と同じ青を探すより、その日の湯が透明、青、白のどこにいるかを見に行く。そう考えると、透明な日に当たったとしても、それも源泉の姿の一つです。泊まって、時間を変えて何度か湯に入ってみてください。